コンセプト

私は10年後、どこかの街で、小さな店を持ちたいと思っています。

喫茶店がしたい。モーニングはトーストに目玉焼きを乗せたものと熱い濃いコーヒーだけだ。ささやかなランチも出したい。チキン南蛮と人参サラダだ。カレーも出すかもしれない。その空間には小さな本棚があってラインナップは時々変わる。静かな午後には本を読む人や音楽を聴く人が熱い濃いコーヒーをすする。カフェと呼ぼう。壁面はギャラリーになっていて寡黙な線画が語りかけてくる。夕方には一日を生き延びた人たちがビールを求めてやってくる。お好みならウイスキーでもワインでも。鰯のオイルサーディンの缶を開ける音がするかもしれない。常連たちが挨拶を交わす。アップライトのピアノから題名を忘れた曲がこぼれ落ちる。

そこはカフェであり、バーであり、ギャラリーであり、街の余白でもあります。
人と人が、人と芸術が、生活と生活がゆるくつながるような
私はこの場所を「あわいのあわ」と名付けました。

あわい(あはひ)
物と物のあいだ、空間のすきま
時間と時間のあいだ、時期
人と人、または二つのものの間にある関係や重なり合う境界

あなたと私の、夕方と夜の、夏と秋の、あわいの境界線はいつもグラデーションだと感じます。そのあわいを曖昧で名前のまだつかないあわが日々浮かんでは消え、消えては浮かびます。季節の匂い、誰かのひとりごと、鼻歌のいちフレーズ。

私はそれをていねいに掬い上げたい。あわいのあわコレクター。

「あわいのあわ」は完成しない場所でありたいと思っています。あわいにあわが浮かぶ限り。
でも、始まりはある。
今、ここです。
いつかどこかのためのプロトタイプ。

インターネットという名前の街にある小さな場所です。

2026.8.7